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ディストリビューターを通じた流通が原則−投資調整庁とジェトロが新ネガティブリストの説明会− (インドネシア)
2014年9月25日 ジャカルタ事務所
投資調整庁(BKPM)ジャパンデスクとジェトロは9月9日、ジャカルタで進出日系企業を対象に「投資ネガティブリスト」の改定(4月23日付大統領規定2014年第39号)について第2回説明会を開いた。5月16日に実施した説明会に続くもので、今回は投資規制の考え方に加えて、進出日系企業の注目が高いディストリビューターの範囲などについて、許認可セクション担当の長官代理が説明した。
<150社の日系企業関係者が参加>
説明会はBKPMジャパンデスクの山●(山へんに竒)紀雄・投資促進政策アドバイザー〔国際協力機構(JICA)専門家〕の司会で行われ、冒頭、同氏は「第1回説明会の開催以降、変更規定の解釈・運用に関する問い合わせが多い中、関係省庁との調整も行っていただいた上で、レスタリ長官代理より説明、質疑応答の機会を得たことに感謝する」とあいさつした。第1回説明会では、ネガティブリスト改定の政策担当であるファラ長官代理(投資環境・開発担当)が説明したが、今回は、新規案件、変更申請などの許認可セクション担当のレスタリ長官代理が説明した。会場には約150社の進出日系企業関係者が参加し、事前に提出のあった約30の質問を基に、ネガティブリスト改定におけるディストリビューターの範囲や役割を中心に説明があった(当日説明資料参照)。
<新規、拡張、合弁、買収のいずれも準拠>
レスタリ長官代理は、冒頭でネガティブリストの運用方法についてあらためて説明した。外国企業の投資申請プロセスとして、まず、申請書、定款などの必要書類を提出後、BKPMによる審査が行われ、数日後に原則許可(Izin Prinsip)が発行される。その後、事業許可(各省庁による)や各県・市など地方政府による許認可が整い次第、初めてBKPMから事業許可(IU)が発行される。これは、新規設立、拡張、合弁、買収の全てにおける共通プロセスで、BKPMとしては、全てのケースにおいてネガティブリストへの準拠を確認していることや、事業許可の発行後に初めて営業、生産活動が許されている点の説明があった。
<ダイベストメント義務対応は経過措置が適用>
次に15条からなる大統領規定2014年第39号について、4つの条項(第3条、第5条、第8条、第9条)が特に重要と説明した。
まず第3条では、「ネガティブリストの別添I、別添IIに記載されていない分野は、無条件に開放する」としている。別添I、別添IIリストでは、業種ごとの規制が記載されており、その業種は「事業分野」と「産業分類コード(KBLI)」の2つを基準としているが、BKPMの許認可に当たっては「事業分野」を優先するとした。また、第8条で「別添I、別添IIに記載がない場合であっても、それとは別に地方政府や各省庁による規制がある場合、そちらを優先する」としたことについて、例えば、5つ星ホテルの設立はネガティブリスト上、外国企業による設立が認められるが、バリ島の一部地域では地方条例により制限されているケースを例として挙げた。
次に第5条では、「間接投資すなわち国内資本市場を通じて取引されるポートフォリオには適用されない」と規定しており、これにより公開株は全て国内投資と見なす一方で、2007年法律第25号(新投資法)により、定款や設立証書の中に外国法人、外国人、外国資本企業(PMA)が株主として含まれる場合には、外国資本企業と見なすという。これにより、上場企業における公開株は国内資本と見なすが、非公開部分に外国法人、外国人、PMAが株主として含まれる場合には、当該企業を外国資本企業と見なすこととなる。上場企業における公開株を外国企業、外国人、外国資本企業などに売却する際には、ネガティブリストにのっとった範囲で許可されると説明した。
第9条ではネガティブリスト改定前に承認を受けた既存投資については例外とする、いわゆるグランドファーザー条項が規定されている。投資承認書に記載されている事業分野の範囲で、「拡張」「合併」「買収」する際、内外の資本比率が変わらないことを条件として、同条項が適用される(第6条)。他方で、投資承認書に記載されていない新しい業種で拡張する場合には、同条項の対象とはならない。例えば、倉庫業がコールドストレージ(冷凍倉庫)を追加で申請する場合には、新たな事業分野と認識されるため、後者の33%が外資出資制限となるという。
また、大統領規定1994年第20号により、外資100%での設立が認められたPMAは事業開始後15年以内に持ち株の一部をインドネシアの個人または法人に移譲することが義務付けられている(「資本移譲義務(ダイベストメント)」)。このダイベストメント義務は2007年以前に設立されたPMAが対象となっており、各社は投資承認書を確認し自社が義務化の対象かどうかを確認する必要がある。同長官代理からは、今回のネガティブリスト改定後にダイベストメントを行う企業は、グランドファーザー条項が適用され、出資比率が変わっても改定後のネガティブリストに抵触せず、当該企業は、資本移譲して残った外資比率で資本を維持できる、との説明があった。なお、BKPM長官規定(2013年第5号)により、ダイベストメントの最低必要額は、1,000万ルピア(約9万円、1ルピア=約0.009円)と規定されている。
<アフターセールスもディストリビューターの事業範囲>
今回の説明会の主テーマであるディストリビューターに関して、同長官代理は「全ての国内流通はディストリビューターを通じて行われる必要がある」と説明した。すなわち、インドネシア関税領域外から領域内へ持ち込まれた製品は、小売店、製造業者、代理店などに届けられるまで必ずディストリビューターを通じた商流となっていなければならない〔ただし、Multi−level marketing(注)が唯一の例外〕。貿易会社(輸出入)はディストリビューターとは異なり、引き続き外資100%で進出可能だが、上記の説明のとおり、貿易会社が輸入した製品は、国内ディストリビューター(外資系企業を含む)を通じた場合のみ、小売店、製造業者、代理店などへの流通が可能となる。ディストリビューターは、自前かレンタルの倉庫を持っていなければならず、パッケージング、アフターセールスについても事業範囲に含めることができる。なお、ディストリビューターについては、外資出資上限が33%まで引き下げられ、日系企業を含めた外資企業への影響が懸念されている。
<2015年までに段階的にオンライン化>
BKPMではオンライン申請を進めている。2012年からは申請がどこまで進んでいるか確認できるトラッキング(追跡)システムを導入、2013年末からは資本財・原材料のマスターリストのオンライン申請を導入し、2014年6月からは原則許可(Izin Prinsip)のオンライン申請を義務化している。それ以外にも、2015年までに段階的にオンライン化を進めており、2016年にはフロントオフィスでの受付を廃止し、全ての申請をオンラインでの受付へ変更する計画となっていると説明した。既進出企業においても、2014年10月以降、BKPMオンラインシステムに設けられたフォルダに定款、各種許認可を含め各種情報を登録する必要がある。
(注)Multi−level marketingは、商工相決定1998年第23号で規定されている。既存の流通業を通さず、独自に開発した流通網を使い販売されるもので、化粧品、衣料品などを中心に展開されている。外資95%まで所有できる。
(藤江秀樹)
(インドネシア)

ディストリビューターを通じた流通が原則−投資調整庁とジェトロが新ネガティブリストの説明会− (インドネシア)

 

2014年9月25日 ジャカルタ事務所

 

投資調整庁(BKPM)ジャパンデスクとジェトロは9月9日、ジャカルタで進出日系企業を対象に「投資ネガティブリスト」の改定(4月23日付大統領規定2014年第39号)について第2回説明会を開いた。5月16日に実施した説明会に続くもので、今回は投資規制の考え方に加えて、進出日系企業の注目が高いディストリビューターの範囲などについて、許認可セクション担当の長官代理が説明した。

 

<150社の日系企業関係者が参加>

説明会はBKPMジャパンデスクの山●(山へんに竒)紀雄・投資促進政策アドバイザー〔国際協力機構(JICA)専門家〕の司会で行われ、冒頭、同氏は「第1回説明会の開催以降、変更規定の解釈・運用に関する問い合わせが多い中、関係省庁との調整も行っていただいた上で、レスタリ長官代理より説明、質疑応答の機会を得たことに感謝する」とあいさつした。第1回説明会では、ネガティブリスト改定の政策担当であるファラ長官代理(投資環境・開発担当)が説明したが、今回は、新規案件、変更申請などの許認可セクション担当のレスタリ長官代理が説明した。会場には約150社の進出日系企業関係者が参加し、事前に提出のあった約30の質問を基に、ネガティブリスト改定におけるディストリビューターの範囲や役割を中心に説明があった(当日説明資料参照)。

Implementation of the presidential regulation: 

 

<新規、拡張、合弁、買収のいずれも準拠>

レスタリ長官代理は、冒頭でネガティブリストの運用方法についてあらためて説明した。外国企業の投資申請プロセスとして、まず、申請書、定款などの必要書類を提出後、BKPMによる審査が行われ、数日後に原則許可(Izin Prinsip)が発行される。その後、事業許可(各省庁による)や各県・市など地方政府による許認可が整い次第、初めてBKPMから事業許可(IU)が発行される。これは、新規設立、拡張、合弁、買収の全てにおける共通プロセスで、BKPMとしては、全てのケースにおいてネガティブリストへの準拠を確認していることや、事業許可の発行後に初めて営業、生産活動が許されている点の説明があった。

 

<ダイベストメント義務対応は経過措置が適用>

次に15条からなる大統領規定2014年第39号について、4つの条項(第3条、第5条、第8条、第9条)が特に重要と説明した。

 

まず第3条では、「ネガティブリストの別添I、別添IIに記載されていない分野は、無条件に開放する」としている。別添I、別添IIリストでは、業種ごとの規制が記載されており、その業種は「事業分野」と「産業分類コード(KBLI)」の2つを基準としているが、BKPMの許認可に当たっては「事業分野」を優先するとした。また、第8条で「別添I、別添IIに記載がない場合であっても、それとは別に地方政府や各省庁による規制がある場合、そちらを優先する」としたことについて、例えば、5つ星ホテルの設立はネガティブリスト上、外国企業による設立が認められるが、バリ島の一部地域では地方条例により制限されているケースを例として挙げた。

 

次に第5条では、「間接投資すなわち国内資本市場を通じて取引されるポートフォリオには適用されない」と規定しており、これにより公開株は全て国内投資と見なす一方で、2007年法律第25号(新投資法)により、定款や設立証書の中に外国法人、外国人、外国資本企業(PMA)が株主として含まれる場合には、外国資本企業と見なすという。これにより、上場企業における公開株は国内資本と見なすが、非公開部分に外国法人、外国人、PMAが株主として含まれる場合には、当該企業を外国資本企業と見なすこととなる。上場企業における公開株を外国企業、外国人、外国資本企業などに売却する際には、ネガティブリストにのっとった範囲で許可されると説明した。

 

第9条ではネガティブリスト改定前に承認を受けた既存投資については例外とする、いわゆるグランドファーザー条項が規定されている。投資承認書に記載されている事業分野の範囲で、「拡張」「合併」「買収」する際、内外の資本比率が変わらないことを条件として、同条項が適用される(第6条)。他方で、投資承認書に記載されていない新しい業種で拡張する場合には、同条項の対象とはならない。例えば、倉庫業がコールドストレージ(冷凍倉庫)を追加で申請する場合には、新たな事業分野と認識されるため、後者の33%が外資出資制限となるという。

 

また、大統領規定1994年第20号により、外資100%での設立が認められたPMAは事業開始後15年以内に持ち株の一部をインドネシアの個人または法人に移譲することが義務付けられている(「資本移譲義務(ダイベストメント)」)。このダイベストメント義務は2007年以前に設立されたPMAが対象となっており、各社は投資承認書を確認し自社が義務化の対象かどうかを確認する必要がある。同長官代理からは、今回のネガティブリスト改定後にダイベストメントを行う企業は、グランドファーザー条項が適用され、出資比率が変わっても改定後のネガティブリストに抵触せず、当該企業は、資本移譲して残った外資比率で資本を維持できる、との説明があった。なお、BKPM長官規定(2013年第5号)により、ダイベストメントの最低必要額は、1,000万ルピア(約9万円、1ルピア=約0.009円)と規定されている。

 

<アフターセールスもディストリビューターの事業範囲>

今回の説明会の主テーマであるディストリビューターに関して、同長官代理は「全ての国内流通はディストリビューターを通じて行われる必要がある」と説明した。すなわち、インドネシア関税領域外から領域内へ持ち込まれた製品は、小売店、製造業者、代理店などに届けられるまで必ずディストリビューターを通じた商流となっていなければならない〔ただし、Multi−level marketing(注)が唯一の例外〕。貿易会社(輸出入)はディストリビューターとは異なり、引き続き外資100%で進出可能だが、上記の説明のとおり、貿易会社が輸入した製品は、国内ディストリビューター(外資系企業を含む)を通じた場合のみ、小売店、製造業者、代理店などへの流通が可能となる。ディストリビューターは、自前かレンタルの倉庫を持っていなければならず、パッケージング、アフターセールスについても事業範囲に含めることができる。なお、ディストリビューターについては、外資出資上限が33%まで引き下げられ、日系企業を含めた外資企業への影響が懸念されている。

 

<2015年までに段階的にオンライン化>

BKPMではオンライン申請を進めている。2012年からは申請がどこまで進んでいるか確認できるトラッキング(追跡)システムを導入、2013年末からは資本財・原材料のマスターリストのオンライン申請を導入し、2014年6月からは原則許可(Izin Prinsip)のオンライン申請を義務化している。それ以外にも、2015年までに段階的にオンライン化を進めており、2016年にはフロントオフィスでの受付を廃止し、全ての申請をオンラインでの受付へ変更する計画となっていると説明した。既進出企業においても、2014年10月以降、BKPMオンラインシステムに設けられたフォルダに定款、各種許認可を含め各種情報を登録する必要がある。

 

(注)Multi−level marketingは、商工相決定1998年第23号で規定されている。既存の流通業を通さず、独自に開発した流通網を使い販売されるもので、化粧品、衣料品などを中心に展開されている。外資95%まで所有できる。

 

(藤江秀樹)

 

(インドネシア)

 

http://www.jetro.go.jp/biznews/541fdbbd30188